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2016年1114 クリニック

冠動脈性疾患と栄養

冠動脈性疾患における栄養の役割は動脈内プラークの形成、血管皮機能の変化、血栓症のリスク上昇、及び炎症過程など病理学的な観点で明らかにされています。
ダイエットは血中脂質の調節に関与しますし、病気進行の原因になる血管内皮細胞機能や炎症に影響を及ぼします。
以下に示す食事の変更と規則的な運動とを組み合わせると、アテローム性動脈硬化の進行及び冠動脈性心疾患の発症を予防・遅延させるだけでなく、心血管イベントを減少させることができます。

 

 

<脂質のコントロール>
食事中の飽和脂肪酸及びコレステロールは、血中脂質、特にLDLコレステロールを上昇させますが、可溶性繊維はそれらを減少せる傾向にあります。食事や運動、薬物の組み合わせで血中リポ蛋白質濃度をコントロールすることは、大半の冠動脈疾患にとって大切になります。

 

 

<食事中の飽和脂肪酸およびコレステロールを減少させる>
飽和脂肪酸とコレステロールの低い食事は、アテローム性動脈硬化症の進行を遅らせるのに有効です。国際コレステロール学会では全脂肪酸(摂取エネルギーの30%以下)、飽和脂肪酸(摂取エネルギーの7%以下)、コレステロール200㎎/日以下にすることを勧めています。これによりLDLコレステロールを5%低下させるとした研究もあります。(1)
低脂肪摂取のベジタリアンおよびビーガンレシピが有意に効果的であると示されています。(2)~(3)このような食事は体重減少や血圧低下に有効でありアテローム性動脈硬化を改善させるため、多くの患者にとって上記の基本的な食事療法に従うことは意味があります。(4)

 

 

<食物繊維を増やす>
オート麦、大麦、および豆に含まれる可溶性繊維は特に有効です。可溶性食物繊維とペクチンは主に野菜や果物に含まれており、アテローム性動脈硬化症の進行も減少させます。(5)

 

 

<大豆製品の消費>
疫学的研究(6)と臨床研究(7)の両方において、大豆食品(例えば豆腐、肉代用品)が冠動脈性心疾患のリスクを低下させる可能性があると言われています。大豆は血中脂質を減少さえることに加えて、酸化LDL、ホモシステイン、及び血圧を低下させるなどの心保護作用を有します。
コレステロール低下食品(オート麦、大豆食品、ナッツなど)を多く含んだ菜食は、LDLコレステロール濃度を約30%低下させる効果があり、ロバスタチンによる治療と同様の効果があると言われています。(7)

 

 

<抗酸化物質の状態と血管内皮細胞>
食物中の食物酸化防止剤、葉酸、マグネシウム及び他の物質は、酸化LDLを減らし、酸化窒素の消費を高めることで血管内皮機能を改善する可能性があります。
食事に飽和脂肪酸が少ない場合、フルーツや野菜はアテローム性動脈硬化や冠動脈性心疾患のリスクを低下させることができます(8).これらの食品はコレステロールが少ないだけでなく、飽和脂肪酸も少なく食物繊維が豊富です。それらに含まれる心臓に有効な成分としてビタミンC(9)、抗酸化フラボノイド(10)、及び葉酸(11)があります。いくつかの研究では、カロチノイドを含む果物や野菜の摂取量増加が冠動脈疾患のリスクと関連していることが示されたり(12)、カロテノイドの血中濃度が低下すると心血管イベントのリスクが上昇するとの報告もあります。(13)

 

 

<炎症の軽減>
アテローム性動脈硬化症における炎症過程の役割はますます明らかになってきています。
過剰に蓄積した体脂肪の減少は、アテローム性動脈硬化の進行促進および心血管イベントに影響する炎症を軽減させます。
さらに食事中の脂肪のバランスを飽和脂肪酸からω3脂肪酸にシフトさせることは、アテローム性動脈硬化症を減少させるようです。
これは炎症プロセスを低下させることによって冠動脈リスクを低下させると考えられています。

 

そのためには、動物性製品、熱帯由来の油、および部分的に水素化された植物油(トランス脂肪酸)を排除していく必要があります。
また、αリノレイン酸(14)と長鎖ω3脂肪酸の両方で、抗アテローム性動脈硬化作用が認められています。(15)
これらの脂肪酸の心保護作用は血液粘土の低下やトリグリセライドの低下、抗血小板薬、抗不整脈薬、抗炎症薬効果などによるものです。(16)

 

このような研究には3つの重要な注意点があります。
第1にω3脂肪酸の利点は、低脂肪食を摂った後の菜食主義者ではなく、理想的ではない食事をした個人でも実証されている点です。
第2に、多くの研究で魚油が使用されていますが、ω3を脂肪酸を多く含んだ植物食は心臓病のリスクを同様に低下させます。(17)
ウォルナット、亜麻仁油、キャノーラ油はαリノレイン酸を含みω3脂肪酸の非植物性コレステロールを含みません。
第3に、ω3脂肪酸を提供する脂肪または油は他の油と同じエネルギー価であり、ω3を増加させる手段として油に含まれる油を選ぶ場合は、全脂肪および飽和脂肪酸摂取量が増加してコレステロールおよび体重が増加するかもしれません。
上記に加えて、疫学的な研究では、全穀物の消費量が多いと心臓病のリスクが低くナッツ類の消費が多い。(18)
食物繊維の脂質低下効果に加えてマグネシウムやビタミンEを含む食品は心臓病発症率や寿命と関係があります。

 

 

(文献)
1. Hunninghake DB, Stein EA, Dujovne CA, et al. The efficacy of intensive dietary therapy, alone or combined with lovastatin, in outpatients with hypercholesterolemia. N Engl J Med. 1993;328:1213-1219.
2. Ornish D, Scherwitz LW, Billings JH, et al. Intensive lifestyle changes for reversal of coronary heart disease. JAMA.1998;280:2001-2007.
3. Esselstyn CB Jr. Updating a 12-year experience with arrest and reversal therapy for coronary heart disease (an overdue requiem for palliative cardiology). Am J Cardiol. 1999;84:339-341, A8.
4. Barnard ND, Scialli AR, Turner-McGrievy G, Lanou AJ. Acceptability of a low-fat vegan diet compares favorably to a step II diet in a randomized, controlled trial. J Cardiopulm Rehabil. 2004;24:229-235.
5. Wu H, Dwyer KM, Fan Z, Shircore A, Fan J, Dwyer JH. Dietary fiber and progression of atherosclerosis: the Los Angeles Atherosclerosis Study. Am J Clin Nutr. 2003;78:1085-1091.
6. Zhang X, Shu XO, Gao YT, et al. Soy food consumption is associated with lower risk of coronary heart disease in Chinese women. J Nutr. 2003;133:2874-2878.
7. Jenkins DJ, Kendall CW, Marchie A, et al. Effects of a dietary portfolio of cholesterol-lowering foods vs lovastatin on serum lipids and C-reactive protein. JAMA. 2003;290:502-510.
8. Tucker KL, Hallfrisch J, Qiao N, Muller D, Andres R, Fleg JL. The combination of high fruit and vegetable and low saturated fat intakes is more protective against mortality in aging men than is either alone: the Baltimore Longitudinal Study of Aging. J Nutr. 2005;135:556-561.
9. Joshipura KJ, Hu FB, Manson JE, et al. The effect of fruit and vegetable intake on risk for coronary heart disease. Ann Intern Med. 2001;134:1106-1114.
10. Hirvonen T, Pietinen P, Virtanen M, et al. Intake of flavonols and flavones and risk of coronary heart disease in male smokers. Epidemiology. 2001;12:62-67.
11. Voutilainen S, Rissanen TH, Virtanen J, Lakka TA, Salonen JT, Kuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Study. Low dietary folate intake is associated with an excess incidence of acute coronary events: The Kuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Study. Circulation. 2001;103:2674-2680.
12. Osganian SK, Stampfer MJ, Rimm E, Spiegelman D, Manson JE, Willett WC. Dietary carotenoids and risk of coronary artery disease in women. Am J Clin Nutr. 2003;77:1390-1399.
13. Rissanen TH, Voutilainen S, Nyyssonen K, et al. Low serum lycopene concentration is associated with an excess incidence of acute coronary events and stroke: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study. Br J Nutr. 2001;85:749-754.
14. Djousse L, Folsom AR, Province MA, Hunt SC, Ellison RC, and the National Heart, Lung, and Blood Institute Family Heart Study. Dietary linolenic acid and carotid atherosclerosis: the National Heart, Lung, and Blood Institute Family Heart Study. Am J Clin Nutr. 2003;77:819-825.
15. De Caterina R, Zampolli A. n-3 fatty acids: antiatherosclerotic effects. Lipids. 2001;36:S69-S78.
16. Harris WS. Are omega-3 fatty acids the most important nutritional modulators of coronary heart disease risk? Curr Atheroscler Rep. 2004;6:447-452.
17. Erkkila AT, Lehto S, Pyorala K, Uusitupa MI. n-3 fatty acids and 5-year risks of death and cardiovascular disease events in patients with coronary artery disease. Am J Clin Nutr. 2003;78:65-71.
18. Ellsworth JL, Kushi LH, Folsom AR. Frequent nut intake and risk of death from coronary heart disease and all causes in postmenopausal women: the Iowa Women's Health Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2001;11:372-377.

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